子育て支援センター
子育て世代への力強い支援機関として「子育て支援センター」があります。
原則無料で利用できるだけでなく、ほとんどの自治体が設置しているためとてもアクセスも良いため、是非とも活用したい行政サービスです。
この記事では、子育て支援センターの役割や活動内容、利用の際の注意点について解説します。
子育て支援センターとは
子育て支援センターは、厚生労働省が進める「地域子育て支援拠点事業」によって設置される施設です。地域子育て支援拠点事業の目的は下記のように定められています。
「少子化や核家族化の進行、地域社会の変化など、子どもや子育てをめぐる環境が大きく変化する中で、家庭や地域における子育て機能の低下や子育て中の親の孤独感や不安感の増大等に対応するため、地域において子育て親子の交流等を促進する子育て支援拠点の設置を推進することにより、地域の子育て支援機能の充実を図り、子育ての不安感等を緩和し、子どもの健やかな育ちを支援することを目的とする。」
昨今の子育て環境として、下記のような特徴が指摘されています。
- 3歳未満児の子育ての多くが家庭で行われている
- 核家族化により地域のつながりが希薄になっている
- 男性の子育て関与が低い
- 児童数が減少している
子育ては孤立し、子育ての不安や負担感は増しています。このような状況を改善するため、「子育て中の親子が気軽に集い、相互交流や子育ての不安・悩みを相談できる場」として子育て支援センターが設置されることとなりました。
実施主体は市町村で、公共施設を子育て支援センターとして活用していることもあれば、保育所等に運営を委託することもあります。
島根県内の多くの市町村で、独自の名称で子育て支援センターが設置されており、島根県は一覧を公開しています。
地域子育て支援拠点事業 厚生労働省
地域子育て支援拠点事業の実施について 厚生労働省
地域子育て支援センター一覧 島根県
子育て支援センターの活動内容と利用料金
子育て支援センターの活動内容は以下の4つが定められており、有料のイベント参加の場合を除き、利用料金は無料です。
- 子育て親子の交流の場の提供と交流の促進
- 子育て等に関する相談、援助の実施
- 地域の子育て関連情報の提供
- 子育て及び子育て支援に関する講習等の実施(月1回以上)
子育て支援センターにはいろいろなおもちゃや絵本があり、子ども達は自分一人で遊んだり、その他の子ども達と一緒に遊んだりできるため、保護者は子どもに構いっきりにならなくてもよくなり、子育ての体力や気力を温存することができるでしょう。センターによってはかなり大型の遊具を設置しているところもあり、子どもはかなりダイナミックに遊ぶことができます。アパートやマンションなどの集合住宅にお住いの方でも気兼ねなく見守ることができます。子育て支援センターの室内空間は広く空調も完備しているため、室内遊びの環境は万全です。雨の日や暑い日でも気にせず子ども達を遊ばせることができます。たくさん動いたその夜は、子ども達はすっと眠ってしまうでしょう。
子ども達が一緒に遊んで交流している間は、保護者は他の保護者と会話したり、情報交換をしたりすることができ、保護者同士の交流も促進されます。子育て支援センターによっては、親子参加や親同志でのプログラムを開催しているところがあります。他のお母さんに話しかけづらい、個人的なことを聞いてよいのか不安な方でも、自然と話をすることができるようになります。
配置される職員の要件として『子育て支援に関して意欲があり、子育てに関する知識・経験を有する者』とされ、保育士の資格を所有する職員が勤務していたり、心理職が定期的に来たりすることもあります。子育て支援センターによっては、医師やその他の専門職を招いて、小規模講演や相談会を実施するところもあり、子育てに関する情報を専門家から得ることができます。
子育て支援センターには、地域の子育て関連情報を提供することが求められており、施設内の掲示板には、地域の医療機関や親子で利用できる遊び場だけでなく、地元の人しか知らない地域情報なども提示されていることがあります。
活動内容は、絵本の読み聞かせ、専門家とのお話し会、音楽療法を招いてのリズム遊び、親子運動教室、不要になった子ども服の収集と譲渡など、子育て支援センターによって様々です。具体的な活動内容は、実際に子育て支援センターに赴いて掲示板を見たり、ホームページで確認したりするとよいでしょう。
利用に際しての注意点
子育て支援センターの利用対象は小学校に就学するまでの子どもとその保護者です。小学生以上の子どもは利用対象外のため、小学生のきょうだいを一緒に連れていくことはできません。小学生の遊び場としては放課後児童クラブ、放課後子供教室、児童館などがあります。詳しくはこちらを参照ください。
子育て支援センターの利用は、子育て中の家庭であればだれでも利用が可能です。里帰りで一時的に帰省している場合でも利用が可能です。また、居住区にある子育て支援センターでなくても利用可能であり、隣の市町だけでなく県外の子育て支援センターの利用も可能です。気になるプログラムごとに子育て支援センターを利用してもよいですし、土日に開館している子育て支援センターもあるため『平日はA子育て支援センター、土日はB子育て支援センター』との利用方法もよいでしょう。
子育て支援センターによっては、事前登録制になることがあります。また、名札などの準備物が必要な事もあります。基本的に開放時間内であればいつでも利用できますが、イベント開催日には利用できない場合もあるため、自治体に問い合わせるか各子育て支援センターのホームページで確認をしましょう。
子育て支援センターでは相談機能を充実させていますが、育児を支援する機関であり児童発達支援センターのような療育機関ではありません。子どもの発達の問題に関しては、適切な相談機関と療育機関を利用しましょう。
出雲市は、動画で子育て支援センターの活動の様子や利用者の声を公開しています。参照是非、参照ください。 市政の広場「子どもとともに未来に向かって歩むまち いずも」(3:30頃から)」 出雲市による動画紹介
子育て世代包括支援センター
似たような名称の機関に『子育て世代包括支援センター』があります。
『子育て世代包括支援センター』は、母子保健法の改正より、2017(平成29)年4月から市区町村に設置することが努力義務とされた機関で、下記の目的が定められています。
「主に妊産婦及び乳幼児の実情を把握し、妊娠・出産・子育てに関する各種の相談に応じ、必要に応じて支援プランの策定や、地域の保健医療又は福祉に関する機関との連絡調整を行い、母子保健施策と子育て支援施策との一体的な提供を通じて、妊産婦及び乳幼児の健康の保持及び増進に関する包括的な支援を行うことにより、もって地域の特性に応じた妊娠期から子育て期にわたる切れ目のない支援を提供する体制を構築することを目的とする」。
この目的に向けて、子育て世代包括支援センターには以下の4つの必須業務があります。
- 妊産婦・乳幼児等の実情を把握する
- 妊娠・出産・子育てに関する各種の相談に応じ、必要な情報提供・助⾔・保健指導を行う
- 支援プランを策定する
- 保健医療⼜は福祉の関係機関との連絡調整を行う
上記のような業務を規定されていますが、基本的には全ての妊婦、産婦(産後1年以内)と、乳幼児(就学前)とその保護者からの相談を受け入れています。
子育て世代包括支援センターは、相談事案に単独で対応する機関ではなく、相談者を関係機関に結び付けたり、関係機関の連絡調整をしたりする中枢機関としての役割が期待されています。つまり、子育て世代支援センターは「そこへ行けば何らかの支援につながる情報が得られる」というような支援のための総合窓口と考えられるでしょう。
子育て世代包括支援センターの設置運営について(通知) 厚生労働省
子育て世代包括支援センター業務ガイドライン 厚生労働省
子育て世代包括支援センター 浜田市子育て支援サイト
子育て世代包括支援センター 奥出雲町