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保健所・保健センター、福祉事務所、精神保健福祉センター

地域住民の健康を保つ“保健”の拠り所になる保健所と保健センター。よく耳にするけれど、具体的にどのようなことをしているのかわかりにくいものです。
この記事では、保健所と保健センターの違いやどのような相談ができるのかなどを説明します。また、福祉事務所や精神保健福祉センターについても説明し、保健と福祉の相談窓口についてお伝えします。

保健所と保健センター

保健所と保健センターは地域保健法第をもとに設置された公共施設です。 保健所は都道府県、指定都市、中核市、その他の政令で定める市、特別区に設置され、所長として医師が配置されるほか、保健師、栄養士、診療放射線技師、臨床検査技師、獣医師、薬剤師、精神保健福祉相談員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士など様々な職員が配置されており、精神保健や難病対策、感染症対策など地域保健の重要な役割を担っています。

一方、保健センターは地域保健法での名称は『市町村保健センター』であり、市町村ごとで設置が任意になっています。厚生労働省は島根県内の保健所管轄区域ごとの情報を提示していますので参照してください。保健センターには、保健師と管理栄養士、歯科衛生士、理学療法士などが配置されています。保健所と違い、医師の配置は義務となっていません。

厚生労働省(保健所管轄区域案内 島根県)
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/hokenjo/h_32.html

保健所と保健センターの業務

保健所の具体的な事業内容は、人口動態統計や地域保健に関わる統計の作成、栄養改善及び食品衛生、伝染病の予防、水質調査などの環境衛生、医事・薬事、精神保健など様々です。先の世界的なウィルス流行の問題では検査対応、感染経路の解明、接触者に対する相談業務など、中心的な機能を果たしました。
保健所は幅広い内容に相談対応しており、例えば、心の健康全般について相談したい場合は「心の健康相談」を、お酒について相談をしたい方は「アルコール相談」を利用できます。子育てについては、不登校や引きこもり、その他の行動など、思春期に関する相談をしたい方は「思春期専門相談」を利用できます。

相談内容別に、精神科医や保健師、臨床心理士などの専門家が対応しており、相談受付は随時利用ができる場合もあれば、事前に予約が必要な場合もあります。相談の受付方法や日時は各保健所に問い合わせましょう(島根県内の保健所は上記、厚生労働省の『保健所管轄区域案内 島根県』を参照)。
なお、保護者だけでなく学校の教員からの相談にも対応しています。子どもの様子が気になるときには、とりあえず相談、とにかく相談をしてみましょう。

松江保健所(相談業務のご案内 へ)
https://www.pref.shimane.lg.jp/matsue_hoken/
https://www.pref.shimane.lg.jp/matsue_hoken/index.data/sennmonnsoudann.pdf
出雲市保健所(各種相談業務 へ)
https://www.pref.shimane.lg.jp/izumo_hoken/
https://www.pref.shimane.lg.jp/izumo_hoken/index.data/IzumoSoudan.pdf
県央保健所(業務担当 へ)
https://www.pref.shimane.lg.jp/kenou_hoken/

保健センターの業務は、住民に身近な保健サービスを提供することを目的に以下に関する業務をすることと地域保健法に定められています。

  • 健康相談
  • 保健指導
  • 健康診査
  • その他対人保健サービス

具体的には乳がんや胃がんなどの各種がんの検診、母子健康手帳の発行、乳幼児健診などを行っており、業務内容の対象が老若男女を問いませんので、地域住民の方にとってはかなり身近な存在に感じられるでしょう。 保健センターは子ども達の発達を守る発達保障の観点から、1歳半健診や3歳児検診などの乳幼児健診や乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)など幅広い支援を行っています。また、乳幼児健診において精密な検査が必要な場合は専門機関につなぐ機能があり、支援の連携窓口でもあります。
発達の問題にかかわらず子育てに関する質問や育児ストレスの相談、両親教室や子育てサークルへの参加など、保健センターを積極的に活用してみましょう。不安が解消されたりスキルを修得できたりして、子育てが楽になっていきます。
ただし、乳幼児期を過ぎて児童期以降になると、保健センターでの支援やサービス提供が困難になることが少なくありません。学童期以降は、学校や相談支援事業所での相談が利用しやすくなることがあります。

益田市立保健センター
https://www.city.masuda.lg.jp/soshiki/150/
乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業) 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/bunya/kodomo/kosodate12/01.html

福祉事務所(ふくしじむしょ)とは

福祉事務所は、社会福祉法第14条に規定される最前線の福祉に関する相談機関です。
『福祉事務所』という名称を耳にすることは多くはありませんが、実は普段の生活で知らぬ間に福祉事務所と関りを持っていることがあるのです。
福祉事務所は、都道府県と市には設置が義務付けられ、町村では設置は認知となります。島根県内の福祉事務所と連絡先は島根県のホームページに掲載されていますので参照してください。なお、全国的には『福祉事務所』という名称以外に『福祉事務センター』という名称が使われていたり、市役所内の福祉関連課に機能を合わせたりすることがあります。
福祉に関する法律には生活保護法、児童福祉法、母子及び寡婦福祉法、身体障害者福祉法、知的障害者福祉法、老人福祉法があります。これを福祉六法と言います。福祉事務所はこの福祉六法に関する事務手続きを行っているだけでなく、福祉施設、病院や学校と連携して地域住民の相談解決に当たっています。

福祉事務所の業務

福祉事務所の職員には老人福祉指導主事、知的障害者福祉司、身体障害者福祉司、査察指導員が配置されています。これらの職員が、福祉サービスを必要とする人、または福祉サービスが必要になるかもしれない人に対して生活状態や環境などを面接聴取し、福祉サービスの必要性の程度やどのような福祉サービスが必要になるのかを判断します。また、本人に対して生活に関するアドバイスを行うことで、適切な福祉サービスの利用を図っています。 具体的には、民生委員や児童委員に関する事務、介護保険事業所の指定や届出、介護職員に関する研修といった地域福祉の整備に関するものから、児童扶養手当に関する事務、婦人相談、DV相談、生活保護の申請受付といった地域住民に直接関係する業務まで、福祉に関する業務を幅広く行っています。
発達障害に関連した業務のひとつとして、月額数万円の特別児童扶養手当の申請は福祉事務所にします。

島根県福祉事務所一覧
https://www.pref.shimane.lg.jp/education/kyoiku/dokyo/shikin/fukushi/
福祉事務所とは 厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/seikatsuhogo/fukusijimusyo/index.html

精神保健福祉センターとは

精神保健福祉センターは、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律の第6条に規定されている、精神保健の向上および精神障害者の福祉の増進を図るための中核機関で、都道府県に設置が義務付けられています。
精神保健福祉センターの業務として、技術指導や技術援助、教育研修、普及啓発、調査研究、資料の収集など多岐にわたります。

発達障害に関する業務としては、精神保健福祉相談や精神障害者保健福祉手帳の判定が該当するでしょう。
精神保健相談では発達障害の相談も可能ですが、多くは精神疾患やひきこもりなど発達障害に影響をうけて生じた問題を対象とします。相談は本人だけでなく、家族や本人を支える支援者にも応じており、本人への声のかけ方や関わり方について具体的に指南してくれます。また、精神医療に関する相談や精神障害者手帳などの諸制度についての相談も可能で、こころの悩みやこれにまつわる生活の問題に広く対応しています。
なお島根県では、精神保健福祉センターだけでなく身体障害者更生相談所と知的障害者更生相談所の機能を統合した島根県立心と体の相談センターを設置しています。島根県立心と体の相談センターでは、センター内に設置されている島根県ひきこもりセンターにて思春期以降のひきこもりに対し、電話相談や家族教室、当事者の小集団グループ活動のほか、就労支援機関に繋げるなどの支援をしています。

まとめ

保健所や保健センターでは、乳幼児健診や乳児家庭全戸訪問事業(こんにちは赤ちゃん事業)を実施しており、そのような機会を得て相談をすることができます。機会を待つだけでなく、子育てのストレスや発達の不安、思春期に関する相談などは普段から応じておりますので、何か気になることがある場合には積極的に活用していくとよいでしょう。
福祉事務所は福祉サービスを全般的に扱う機関です。直接利用する機会は多くはないでしょうが、子どもを支援機関へ送迎することが多いため収入が不安定、医療費がかかりすぎるなどでお困りの場合には相談活用してみましょう。
精神保健福祉センターはこころの病気やそれにまつわる各種の支援について相談できる機関です。ひきこもり相談は本人だけでなく家族への支援もしています。本人が相談を拒否する場合は家族だけでも相談をしてみましょう。支援のヒントが得られるかもしれません。