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一時預かり事業

保護者の仕事の都合や体調不良によって、子ども達の面倒を代わりに見てくれるサービスとして、放課後児童クラブ、放課後子供教室、放課後デイサービスなどがあります。しかしこれらの利用条件は小学生以上の子どもであるため、未就学の子どもは利用することができません。
この記事では、未就学の子どもを預かってくれる「一時預かり事業」について説明します。

事業の目的

一時預かり事業は「家庭において保育を受けることが一時的に困難となった乳児又は幼児について、主として昼間において、保育所、幼稚園、認定こども園その他の場所において、一時的に預かり、必要な保護を行う事業」です。子ども・子育て支援法に基づいて市町村が実施しており、管轄は厚生労働省になります。
就労や介護などで家庭での保育が困難となった場合に利用できるだけでなく、育児の疲れによる保護者の心理的・身体的負担を軽減するために利用することもできます。
似た名称に保育園が運営する『一時保育』がありますが、『一時預かり事業』と同等に使用されることが少なくありません。

利用対象となる子ども

既に幼稚園や認定こども園で行われている『預かり保育』は、基本的にその園に通っている子どもが対象ですが、一時預かり事業はその園に通っていない子どもが利用できるほか、まだ園などに在籍していない子どもも利用することができます。

利用条件は

小学生以上を対象にした放課後児童クラブや放課後デイサービスは、保護者の就労条件や子どもへの支援の必要性が利用条件であるのに対し、一時預かり事業は理由を問わず利用することができます。
ですので、急な用事や冠婚葬祭に出席するために子どもを預かってもらうだけでなく、育児から離れて夫婦で食事でも行きたいとの『気分のリフレッシュ』も理由として認められます。ただし、施設によっては保護者の仕事や家族の看病、冠婚葬祭への出席などに条件を限定していたり、理由が就労ならば週3日、リフレッシュならば週1日と、利用理由によって条件を設けていたりするところもあります。

一時預かり事業の4形態

以前の運営条件は「保育士2人以上配置」と厳しかったため、慢性的な人手不足状態にある保育所等が一時預かり事業を運営することは容易ではありませんでした。
そこで一時預かり事業を普及させるため、2015年度に運営条件が緩和され「一般型」「幼稚園型」「余裕活用型」「訪問型」の4つの事業形態に再編されました。

一般型

実施場所は、保育所、幼稚園、認定こども園、地域子育て支援拠点または駅周辺などの利便性の高い場所であり、一定の利用児童が見込まれる場所で実施されます。
対象となる子どもは、主に保育所、幼稚園、認定こども園等に通っていない子ども、または在籍していない乳幼児になります。
保育内容は保育所保育指針に準じて行われます。
保育に従事する者の資格要件は原則保育士ですが、平均利用人数が少ない場合に限って家庭的保育者(市町村長が行う研修を修了し、保育士と同等以上の知識及び経験を有すると市町村長が認めた者)をあてることも可能とされています。

幼稚園型

実施場所は、幼稚園または認定こども園です。
対象となる子どもは、主にその幼稚園等に在籍する満3歳以上の幼児です。ただし、同一施設で一般型の一時預かり事業を運営している場合、在園児以外の子どもも預かることができます。
職員は幼児の年齢や人数に応じて2人以上の職員を配置することとなっており、うち半数以上は保育士または幼稚園教諭です。

余裕活用型

保育所、認定こども園などが、その園の入所数が定員に達していない場合に定員の範囲内で実施します。
担当職員の資格要件は保育士、幼稚園教諭、家庭的保育者などとして認定を受けている者に限られます。設備や運営はそれぞれの施設の基準に従って行われています。

居宅訪問型

対象となる子どもは、障害や疾病などのために集団保育が困難であると認められる場合、ひとり親家庭等で保護者が一時的に夜間及び深夜の就労等を行う場合、離島その他の地域において保護者が一時的に就労等を行う場合とされます。
実施主体は居宅訪問型保育事業者として市町村から認可を受けている事業所です。保育士または必要な研修を修了して保育士と同等以上の知識や経験を有すると市町村が認めた者が、対象となる子どもの家庭で1対1の保育に携わります。
利用要件として、一時預かり事業やその他のサービスが利用できないこと、市町村との協議が必要になります。

利用方法と料金

基本的に、一時預かり事業をしている保育所、幼稚園、認定こども園その他の場所に直接利用申し込みをします。 当日の利用はできません。事前に利用予約が必要です。園によっては前日予約が可能なところもあれば、一週間までの予約が必要なところがあります。また、事前に面談をして登録をしなければ予約ができないようにしているところもあります。必要な手続きや書類は保育所や幼稚園などによって異なりますので、利用を希望する保育所や幼稚園に早めに問い合わせましょう。

利用時間は一般的な開園時間と同じで8時半から17時半に設定しているところが多いです。利用料金は子どもの年齢に応じて、また、半日利用か一日利用で値段が変わります。一日利用になると一日1,000円~2,000円になることが多いです。
利用時間や利用料金は市町村や保育所や幼稚園などで変わるため、利用前には確認が必要です。

一時預かり事業を運営している保育所や幼稚園などは、ホームページを開設していればその情報を公開しているので、最寄りの保育所や幼稚園などが一時預かりをしてくれるかどうかを事前に確認しておくと、もしものときに慌てなくて済みます。
また、島根県内の各市町村には、一時預かり事業を運営している保育所や幼稚園などをまとめたページを開設している自治体があるので、こちらで確認してもよいでしょう。 市町村内の保育所や幼稚園などの一時預かり事業が定員オーバーをしており、利用しにくくなっている自治体もあるため利用方法、利用状況、料金などは事前に自治体に確認をしましょう。基本的に管轄する課は子育て支援課や福祉課になることが多いようです。島根県のホームページに県内市町村の連絡先一覧がありますので、これを参照するとよいでしょう。

保育施設について 島根県
https://www.pref.shimane.lg.jp/education/syoushika/kosodate/hoikusho/hoikusho.html

島根県各市町村のホームページ(一部)
松江市
http://www1.city.matsue.shimane.jp/kyouiku/hoiku/hoikusabisu/itijihoiku/itijihoiku.html
安来市
https://www.city.yasugi.shimane.jp/kurashi/kyoiku/hoiku/hoikusho-kodomoen.html
雲南市
http://kosodate-unnan.jp/hoiku/hoikusyoazukari.php
浜田市
http://www.city.hamada.shimane.jp/www/contents/1389003363816/index.html

発達障がいの特性がある場合の選択として

一時預かり事業の保育内容は保育園や幼稚園などでの保育内容と大きく異なる点は以下のようなものがあります。

  • 保育園や幼稚園などでの保育が同じ年齢ごとにクラス分けされるのに対し、一時預かり事業での保育では異なる年齢の子ども達が一緒に活動します。
  • 幼稚園型を除く一時預かり事業では在籍園児以外の子どもが集まります。
  • 一時預かり事業の保育はあくまでも一時的に預かることが目的なので、長期的に子どもと関わることで子どもの成長を促す通常の保育は行いません。そのため、幼稚園や保育所などで行われる季節のイベントや行事などは基本的に設けておらず、遊びやその他の活動の提供になるようです。中には、英語や体操など独自のプログラムを設けているところもあるようです。

これらの違いがあるため、子どもの中にはいつもとは違った友達や環境で遊べることが楽しみになる場合があります。しかし、環境の変化に不安になりやすい特性が子どもにある場合、幼稚園や保育園などによっては一時預かりの見学を受け入れているところがあるので、事前に一緒に見学にいくとよいでしょう。また、シルバー人材センター(後述)によっては、マンツーマンで子どもを預かってくれるところがあります。集団場面が苦手である場合にはこちらの利用もよいでしょう。シルバー人材センターの会員が対応するため、事前にお願いやもしもの時の対応を具体的に伝えておくことが必要になります。

その他の預かり事業

◆病児保育・病後児保育

急な発熱や腹痛など、子どもが病気または病気の回復期にある場合、保育園や幼稚園から帰宅せねばならず、一時預かり事業でも利用を断られることがあります。この場合に利用できるサービスに病児保育と病後児保育があります。
病児保育とは、医療機関に併設された施設で、病気を発症して間もない子どもを受け入れることができる保育看護事業です。
病後児保育とは、保育園に併設された施設で、病気の回復段階にある子どもや症状が軽い子どもを受け入れる保育看護事業です。

対象児童は基本的に乳幼児から小学校6年生までの児童であり、その保護者が勤務等の都合により家庭で育児を行うことが困難である場合とされ、利用に際してかかりつけ医が病児、病後児保育に適応すると認められた場合となります。
麻疹(はしか)・水痘症(水ぼうそう)・結核など、感染症や病気の種類によっては利用ができないことがあるため、事前に市町村に問い合わせをしましょう。

島根県各市町村のホームページ(一部)
松江市
http://www1.city.matsue.shimane.jp/kyouiku/hoiku/hoikusabisu/byouji/byouji.html
安来市
https://www.city.yasugi.shimane.jp/kurashi/kyoiku/shien/byouji.html
雲南市
https://www.city.unnan.shimane.jp/unnan/kosodate/azukeru/shisetsu_ichiran2.html
出雲市
http://www.city.izumo.shimane.jp/www/contents/1241780289446/index.html
大田市(病後児保育)
https://www.city.ohda.lg.jp/ohda_city/city_organization/24a/42/332/1207/14331
大田市(体調不良児対応型)
https://www.city.ohda.lg.jp/ohda_city/city_organization/24a/42/332/1207/1627

◆幼稚園や保育所など以外の預かり事業

民間企業が経営する託児所が利用できます。民間企業が運営するため料金は割高になりますが、利用条件は市町村の一時預かり事業よりも柔軟に決めることができます。
その他にも、松江市では公益財団法人松江市シルバー人材センターの会員が保護者に代わってマンツーマンで子どもを預かってくれるサービスを提供しています。

公益財団法人松江市シルバー人材センター
https://www.matsue-silver.jp/job_list/ukeoi/129