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大学生活を体験しよう

大学の授業形式

大学に進学を希望する人の中には、オープンキャンパスや大学の説明会を利用した人は少なくないのではないでしょうか。しかし、オープンキャンパスや説明会では、大学の情報を得られても具体的な大学生活をイメージすることはとても難しいものです。ゼミ形式の授業では自分の考えを発表しなければなりません。聴講形式の授業では、黒板に授業内容が丁寧に書かれるわけではなく、教授や講師の講義をノートに記載しなければなりません。

大学の講義は高校までの授業とは全く違う形式であるため、とてもイメージしにくいものです。

実は、大学の授業を事前に体験できる“あるプログラム”があります。このプログラムでは現役の大学教授や講師による授業を受けたり、ゼミ形式の授業で参加者に意見を発表したりするのです。大学の授業形式を実際に体験することで、不安を軽くすることができるのです。

障害者には大学進学は無理?

中には「学習障害があるので、大学の講義を理解できないだろう」「自閉症スペクトラム症があって、自分の考えを表明することが苦手だ。ゼミ形式の授業は到底無理だろう」との理由で、大学進学を鼻からあきらめてしまっている人もいるかもしれません。

しかし“あるプログラム”は、最先端技術を活用して講義を行うことで、障害、国籍、年齢を問わず、全ての人が参加できる授業を目指しています。

これにより、発達障害があっても大学進学は可能であることが実感できるようになるのです。

DO-IT Japanの『スカラープログラム』

東京大学先端科学技術研究センターのDO-IT Japanでは、障害のある若者(中学生以上)を対象にした『スカラープログラム』を実施しています。

スカラー(scholar)は『学者』の意味であり、DO-IT Japanではプログラムに参加する生徒や学生は、中学生や高校生であっても「スカラー」と呼んでいます。

この『スカラープログラム』にて、大学の講義を実際に体験する機会が設けられているほか、大学内の移動(大学は講義ごとに部屋を移動することが多いのです)、他参加者との意見交換や発表などの課題も設けられています。

スカラープログラムの目的

スカラープログラムでは年間を通じたプログラムで、子どもたちが考え、行動し、参加することを支援していきます。

プログラムには

  • テクノロジーを活用した学習方法
  • 自身の障害理解
  • セルフアドボカシー(自分の権利を擁護すること)
  • 自己決定

など様々なものがあり、これを大学だけでなく、企業や日常生活の場面でも学習・実践していくのです。

実は、スカラープログラムは、『大学の模擬体験』の機会を提供することが目的ではありません。

スカラープログラムの目的は『多様性理解を広げること』であり、障害や病気のある若者が、大学などの高等教育に進学すること、その後の就労に移行することを通じて、その若者が社会の多様性理解を広められるリーダーになるための育成プロジェクトのひとつとして、DO-IT Japanは『スカラープログラム』を展開しているのです。

その他にも下記のようなプログラムを用意しており、本人、家庭、教育の手で多様性理解を広げていきます。

  • 保護者向けの『パル(PAL)プログラム』
  • 学校、教師向けの『スクールプログラム』

『DO-IT』は『Do it! (さぁ、始めよう)』と読むこともできますが、下記の頭文字を取ったものです。

Diversity:多様性

Opportunities:機会

Internetworking & Technology:インターネットワーキングと技術

これは『障害、国籍、性別などの多様性に開かれた平等な機会をインターネットワーキングと技術で実現する』ということであり、多様性拡大の努力や義務は、当事者(例えば障害者)や社会(例えば学校や企業)のどちらか一方に負わされるものではなく、両者が技術や制度を使って双方的に成し遂げるべきものであるということを意味していると考えられます。

まとめ

この記事では、大学進学の不安を解消するための方法として、実際に大学生活を体験できる機会を提供しているDO-IT Japanの『スカラープログラム』をご紹介しました。

本プログラムは大学を模擬体験する機会を提供するものではないため、大学進学の不安を解消するという目的には沿わないかもしれません。

しかし、本プログラムの多様性を開くスキルや考え方の習得は、結果的に大学進学も含めた社会参加の不安を解消できるようになるのではないでしょうか。

同時に、あらゆる子どもたちの社会参加は、私たち大人の多様性理解を広げることにもなるのです。

 

DO-IT Japan - Diversity, Opportunities, Internetworking & Technology

スカラープログラム DO-IT Japan

DO-IT Japan 2016年活動動画 YouTube

2019年活動報告書 DO-IT Japan