聴覚過敏への対策、不要な騒音だけを消す『デジタル耳栓』
自閉スペクトラム症と聴覚過敏
自閉スペクトラム症の方に、感覚の過敏や鈍感が見られることがあります。
特に聴覚過敏は自閉スペクトラム症の方によく聞かれる訴えです。まだ原因は明らかにされていませんが、聴覚抑制系の異常が指摘されています。
聴覚過敏の聞こえ方
皆さんも大きな音や高い音を聞いて耳が痛くなった経験をしたことがあると思います。聴覚過敏によって通常の音量でも大きく聞こえてしまえば、日常生活は痛みにあふれてしまうでしょう。
聴覚過敏は『音が大きく聞こえる』ということだけではありません。聴覚過敏のある方の訴えを聞いてみると次のようなものがあります。
「頭の中で音がグラグラする」
「音がガシャガシャして体が気持ち悪くなる」
「他の音(騒音)と必要な音(人の声)が弁別しにくい」
音が頭の中で反響する『両耳ビート』、音が体の感覚を呼び起こす『くすぐったい音』は、下記のサイトで体験ができます。聴覚過敏のある方がこのように聞こえているかどうかはわかりませんが、このような音の聞こえ方では日常生活がままならなくなるのは想像に難くありません。
不要な騒音を消す『デジタル耳栓』
聴覚過敏の対策に『イヤーマフ』が使用されることがあります。ヘッドホン型の消音道具です。音を緩衝する(刺激を和らげる)ことで聴覚過敏に対処できるようになります。
しかし、イヤーマフでは騒音以外にも人の音声まで緩衝してしまうので、学校の授業のように人の話を聴かなければならない状況では使用しにくくなります。
この問題を解消してくれるのが『デジタル耳栓』です。
デジタル耳栓はイヤホン型の消音道具です。イヤホンに内蔵された小型マイクが周囲の騒音を分析し、その逆位相の音を出すことで騒音を打ち消します。
このようなノイズキャンセリング機能は、旅客機内や自動車内の静粛性を高めるために一部のメーカーが古くから導入しているだけでなく、最近では音楽や動画をクリアに楽しむために、市販のイヤホンやヘッドホンにも内蔵されています。
デジタル耳栓は周囲の騒音のみ緩衝するため、先生の話を聞かなければならない授業中や、騒音はシャットアウトしたいが必要なアナウンスを聞かなければならない状況(電車の中、職場など)でも、問題なく使用ができます。
声は聞こえて、騒音だけをカット!!「デジタル耳せん」MM1000 KING JIM
使用者の感想
実際、筆者が経験した聴覚過敏のある中学生男子(A君)の体験談を紹介します。A君にデジタル耳栓を使用してもらった感想を尋ねると、次のように回答してくれました。
・周囲の気になる騒音(紙がこすれる音、エアコンの音など)は柔らかくなって先生の話に集中しやすくなった。
・教室に反響するような女子生徒の甲高い声はあまり効かない。
・ヘッドホン型の『イヤーマフ』と違ってとても小型なので、周囲からも目立たない。
ちなみに、あの有名ユーチューバーもデジタル耳栓を体験・紹介しています。気になる方は参考にしてみてください。