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ADHDのある子どもたちの『いずもサマースクール』

『サマートリートメントプログラム』って何?

『サマートリートメントプログラム』(以下STP)をご存知でしょうか。

STPはADHDのある子どもとその保護者を対象にした治療プログラムで、応用行動分析の理論に基づいた様々な手法を活用し、子どもたちの望ましい行動を引き出していきます。

プログラムは、学校状況に近い集団場面で一定期間実施するため、子どもたちが参加しやすい夏休みを利用して開催されます。また、家庭でもSTPと同様の効果が得られるよう、プログラム中にペアレントトレーニングが実施されることがあります。

アメリカでは既に多くの実績や治療効果が報告されています。日本では久留米大学の山下裕史朗先生、向笠章子先生のグループが、日本風にアレンジした『くるめSTP』を開発しており、アメリカ同様に多くの実績や治療効果を報告しています。

くるめSTPの目的は以下のように紹介されています。

くるめSTPの目的は、ADHD児の学校適応力の育成です。そのために、

  1. 問題解決スキル
  2. ソーシャルスキル
  3. 学習スキル
  4. 社会規範を守るスキル

の向上を図っていきます。

STPの活動と主な手法

プログラムは学校生活と同じように計画されます。期間中(一般的に5日間)、子どもたちは学校や大学などの開催地に通い、1日7時間程度の集団活動を行うのです。

活動は、学習、スポーツ、ソーシャルスキルトレーニングを行い、スタッフがこれを指導していきます。

スタッフは、医師や看護師や学校の教師の他に、事前に研修を受けた大学(院)生たちが担当し、次のような手法を活動中の子どもたちに実施します。

・ポイントシステム

スタッフの話を聞く、友達からのちょっかいを無視するなどの望ましい行動をした子どもには、スタッフからポイントが与えられます。逆に、スタッフの指示に従わない、友達にちょっかいをかけるなどの望ましくない行動をした子どもは、スタッフから減点されてしまいます。

ポイント数と該当行為は事前に決められており、子ども達はルールを意識しやすくなっています。加点・減点は、活動中にスタッフから「A君、お話をよく聞けているので10点です」のようにアナウンスされるため、子どもたちは自分の活動をモニタリングできるだけでなく、一日の活動の終わりには獲得した総ポイント数が公表されるため、自尊心を高めることができます。また、ポイントに応じたご褒美やお楽しみ活動への参加権なども与えられます。

・タイムアウト

友達を叩く、物を破壊するなどのやめさせなければならない行動に対しては、ポイント減点だけでなく、一定時間活動を制限されるタイムアウトが課せられます。

・ソーシャルスキルトレーニング

「断る」「話しかける」などのコミュニケーションの方法を、実際に演じて学習します。

山下裕史朗, 弓削康太郎, 家村明子,永光信一郎,多田泰裕,向笠章子 (2019). ADHD児童と保護者へのサマートリートメントプログラム. 予防精神医学 Vol.4(1) 33-40

島根県立大学『いずもサマースクール』

島根県立大学出雲キャンパスでは、高橋恵美子先生が『いずもサマースクール』を実施しています。『いずもサマースクール』の目的は次の通りです。

目的

●適切な「問題解決力」「社会適応力」「学習力」を獲得する

●子どもたちが援助を必要としていることに対する社会的認知を高める

●対人関係・集団活動・学習場面に関する自尊感情を高める

●保護者に子どもたちとの関わり方を伝える

活動プログラムは児童が勉強を教えあう集団学習、チーム対戦のスポーツ、友達と協力して作品を完成させる創作活動など、小集団活動を基本にしています。

期間は、8月中旬から下旬に5日間開催されます。

会場は、島根県立大学出雲キャンパスとなります。

費用は、5,000 円(保険料、教材費、レクリエーションにかかる費用)となります。
対象は、小学校の通常学級に在籍し、次の条件を満たす児童です。

  1. 医療機関からADHDの診断を受けているか、同様の課題が明確に認められること。
  2. 当該学年の学習内容に概ね対応できること。
  3. 小学校3~6年生であること。
  4. 5日間のプログラムに続けて参加できること。
  5. 保護者による、会場までの送迎と昼食の準備が可能であること。
  6. 保護者会に出席が可能であること。

募集期間、申し込み方法の詳細はホームページを参照してください。

いずもサマースクール 島根県立大学出雲キャンパス