療育に関する『意見書』
申請時に必要な書類
『障害児通所給付費に係る通所給付決定事務等について(厚生労働省)』によると、利用申請時に提出する書類には『ア:支給申請書』と『イ:添付書類』があります。
ア 支給申請書の記載事項(児童福祉法施行規則 第18条の6)
①当該申請を行う障害児の保護者の氏名、居住地、生年月日、個人番号及び連絡先(放課後等デイサービスの利用年齢の特例を申請する場合は当該障害児を障害児の保護者と読み替えること。)
②当該申請に係る障害児の氏名、生年月日、個人番号及び当該障害児の保護者との続柄
③当該申請に係る障害児の保護者に関する障害児通所給付費の受給の状況
④当該申請に係る障害児の保護者に関する障害児入所給付費の受給の状況
⑤当該申請に係る障害児の保護者に関する介護給付費等(障害者総合支援法第19条第1項に規定する介護給付費等をいう。)の受給の状況
⑥当該申請に係る障害児通所支援の具体的内容
⑦主治医があるときは主治医の氏名並びに医療機関の名称及び所在地
※ ①~⑦は省令に定める必須記載事項であり、様式例では、その他市町村が申請時に把握しておくことが望ましいと考えられる事項を追加している(その他様式についても同様。)。
イ 支給申請書に添付する書類(児童福祉法施行規則 第18条の6第2項)
①負担上限月額(肢体不自由児通所医療負担上限月額を含む。)の算定のために必要な事項に関する書類
②現に通所給付決定を受けている場合には、通所受給者証
③必要に応じて、医師の診断書
④居宅訪問型児童発達支援の申請にあたっては、障害児相談支援事業所が作成した障害児支援利用計画案を必須とする
診断書から意見書へ
筆者がお話を伺った各自治体では、申請の書類に『診断書』を指定すると、
- 療育のための『診断書』になることで受診者数が増加し、初診待機期間が長くなった。
- 診断には至らないが気になる子ども(いわゆる『グレーゾーン』)には、医師は『診断書』を発行しにくく、早期療育へつなげにくい。
などの課題が聞かれました。そこで『診断書』ではなく『意見書』を申請時の添付書類として認めたそうです。
児童福祉法の第二十一条の五の七には、専門家の“意見”に関する記述があります。
「②市町村は、通所支給要否決定を行うに当たつて必要があると認めるときは、児童相談所その他厚生労働省令で定める機関の意見を聴くことができる。③児童相談所等は、前項の意見を述べるに当たつて必要があると認めるときは、当該通所支給要否決定に係る障害児、その保護者及び家族、医師その他の関係者の意見を聴くことができる。」とあり、
意見書を利用する自治体
例えば、鹿児島県では医師だけでなく心理職の意見書も、申請時の添付書類として可能としています。
また、沖縄県糸満市では『意見書』のフォーマットを作り、意見書での申請を促しています。
意見書のメリット・デメリット
意見書を活用することで、診断未満の子どもを早期に療育につなげられるようになったメリットがある一方で、申請数や通所支援機関が増加しており、財政負担や人手不足のデメリットも懸念されています。