家庭でしよう!スマホ所有前の『ペアレンタルコントロール』
2019(令和元)年、内閣府の「小中学生ICT利用調査」によると、中学生のスマートフォン(以下 スマホ)所持率は6割となりました。小学生の所持率(3割)の2倍となっており、中学生進学を基準にしてスマホの所有を許可する家庭が多いことがわかります。
一般的に、子どもは友達とのSNSを目的にスマホを要望することが多いようです。当然のことながらスマートフォンはSNSの専用機器ではなく、インターネット検索、ネットショッピング、ゲーム、便利なアプリケーションなど、様々な機能を利用することができます。
社会経験をして経済的な価値や最低限の経済の仕組みを知っている大人が、メディアを利用するのとは大きく異なり、子どものメディア利用は、金銭や個人情報だけでなく、ときには身体の搾取まで及んでしまうことがあり、保護者の管理は必須です。
『フィルタリング』だけでは危険
皆さんのご家庭では、子どもにスマホを持たせるにあたって、どのようなことを話し合い、どんな約束や制限をしているでしょうか。
「うちはフィルタリングをしているから大丈夫」と、おっしゃる保護者さんがいらっしゃいますが、
いいえ“フィルタリング”だけでは不十分です!
ウェブフィルタリングは、子どもがインターネットを閲覧するときに、アダルトサイトや暴力的なサイトなどの『有害サイト』へのアクセスをブロックする方法です。
ウェブフィルタリングをしていても、アプリケーションを購入したり、サイト内で課金できたりします。もし、これらが詐欺だったら…。
また、個人情報や居住地が特定できるような写真をSNSに投稿してしまうと、これらの情報を追跡されてしまう恐れがあります。インターネット上に投稿した一部データは完全に消し去ることが難しく、『デジタルタトゥー』と言われることもあります。
『ペアレンタルコントロール』をしよう
子どものパソコンやスマホなどのメディア利用を親が管理・制限する一連の取り組みを『ペアレンタルコントロール』と言います。
ペアレンタルコントロールは、ウェブフィルタリングだけのことを指すのではなく、以下のような管理や制限も含みます。
- アプリフィルタリング:アプリケーションのダウンロードや起動を制限するほか、利用時間などを管理する。
- 機器本体の機能制限:機器自体の利用を制限する。時間帯で制限することも可能。
- 課金禁止:アプリ内での課金を禁止する。
- 位置情報:機器に内臓されているGPS機能を利用して、防犯目的として子どもの居場所を確認する。
- 履歴のレポート:子どもが閲覧したウェブサイトや電話の発着信などを履歴に残す。 など
これらはフィルタリングと同じように、子どもが知らない人とやり取りして犯罪に巻き込まれることを防止します。また、スマホの使用時間を制限することで、ネット依存に陥り日常生活に支障をきたしたりすることを防ぐ効果もあります。スマホの機種によって設定方法が異なります。例えばiPhoneではスクリーンタイムの機能で、Androidではファミリーリンクというアプリを使います。また、各ゲーム機にも「ペアレンタルコントロール」のサービスがあるので、説明書やホームページを見て設定しましょう。
スマホを持たせる前に子どもと話し合おう
スマホを持たせる前に、使用してよい時間や場所、アプリケーションやSNSの利用方法などのルールを子どもと一緒に話し合いましょう。保護者が一方的に子どもにルールを押し付けたり子どもの言いなりになったりするのではなく、互いに意見を出し合って安全で楽しく使えるスマホのルールをつくることが大切です。決めたルールは冷蔵庫など家族が毎日目にするところに貼っておくと、ルールを意識しやすくなります。
また、塾に通い始める、高校へ進学するなど、子どもの生活時間が変化する時期には、改めて使用時間や利用機能に関するルールを決め直しましょう。ルールは作成しておしまいにするのではなく、子どもの成長とともにルールも成長させることで、子どもは成長にあった自制心を身に着けていくことができるようになります。
スマホは子どもにとっても便利で楽しいものですが、使い方を誤ると容易に犯罪に巻き込まれたり、のめりこみすぎて日常生活に支障を生じたりする可能性が高くなるのも事実です。
『ペアレンタルコントロール』で適切に管理し、子どもと話し合ってルールを決めることで、子どもが安全にスマホを使用できるようにしましょう。
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