リエチャイルドサポート(松江市)の紹介
今回ご紹介するのは、松江市にあるリエチャイルドサポート(Rie Child Support:RICS)です。
代表の引野里絵先生はこれまでに教育委員会、リハビリテーション病院、放課後等デイサービスなど、医療、教育、福祉の多領域で活躍されています。病院や専門機関などの特別な場所や空間ではなく、日々の暮らしの中に子どもの成長を届けようとの思いから、2016年にリエチャイルドサポートを立ち上げ、島根県東部を中心に精力的に活動されています。
以前、筆者が勉強会でお会いしたときは、どんなに難しいテーマでも笑顔を絶やさず対応していたのがとても印象的でした。
技術や経験に裏打ちされたその笑顔が、子育ての不安や悩みをふっと軽くしてくれそうな雰囲気の先生です。
RICSのモットー
引野先生のご専門は作業療法で、手指の操作や全身運動へのアプローチを通じて、子どもの発達をサポートしています。RICSのホームページに紹介されているモットーは以下の通りです(※引野先生のお話を聞いた筆者なりの考えも付け加えています)。
1.子どもにも大人にも『やった!』『できた!』を引き出そう
できないことを『できる』ようにすることが目的になると、どうしても欠点や短所に目が向いてしまうものです。「あれができていない」「これもまだできない」と思う日々では、子どもの成長をよろこぶ余裕を失ってしまいます。
大切なのは『やった!』『できた!』を引き出し、「私もやれる!できる!」を体験してもらうことです。
それは、子どもだけでなく大人も対象にします。
子どもが「できた!」で終わらせるのではなく、保護者や先生と一緒に支援を考えることで、大人にも「できた!」を引き出すことができれば、支援は自ら進んでいくのです。
実際、RICSは保護者の相談対応だけでなく、保育所・幼稚園に訪問して現場の先生方への相談対応も行っています。
2.視点を変えれば、日々の暮らしの中にも成長のエッセンスがある
発達や成長の支援は、何も特別なものではありません。
視点を変えるだけで日常の何気ない物事にも発達や成長を促すヒントがあることに気づくことができ、家庭や学校でも自然に子どもの成長を見守ることができるのです。
筆者は特にこの点に感銘を受けました。
療育や発達支援は、何か特別なことや難しいスキルと捉えられる傾向があります。書店では療育や発達支援に関する書籍の多くは、子どもコーナーや婦人コーナーではなく、専門書コーナーの本棚に並べられているのもその証だと思います。
誰もが気軽に活用できる方法があれば、子育てはそれをする人の問題であると、つい他人ごとにしてしまいたくなる気持ちも収められるのではないでしょうか。
3.『ある』ものを活用しよう
専門的に言えば“実現可能性が高い”と言うべきものでしょうか。
成長は、無いものねだりをして足掻(あが)くよりも、今あるものを磨いてく方が確実に成し遂げることができます。
しかし、『ある』ものをどのように活用するかが、実は一番難しいのかもしれません。
既に『ある』ものは、もはや無意識に活用しているので、意識的に活かす方法がわからないことがあるのです。
引田先生は、子どもの『ある』もの探しが得意です。
通常、保護者が「できていて当然」と思うものでも、引田先生の目には大切な支援のヒントに見えていることでしょう。
RICSの支援例
RICSのホームページには、これまでに支援した事例の一部が掲載されています。
- 自転車に乗れるようになり、友達と遊びに行くことを夢見る男子児童
- リコーダーが上手く吹けないから「音楽に行きたくない!」と訴える男子児童
など、気になる方は是非RICSのホームページを参照してください。
さらに、個別対応だけでなく、保育所に訪問して一緒に対応を考えてくれるサービスも展開しています。こちらも是非ホームページで参照してください。
利用の注意点
RICSは医療機関や福祉機関ではないため、保険適用や費用の減免はありません。利用には自費の料金が必要になります。
「料金が発生するなら、料金の安い病院や福祉での療育でいいんじゃないか?」
いいえ、そんなことはありません。
保険診療制度や福祉制度の制限を受けないため、病院や福祉機関では手の届かない丁寧な支援が可能になるのです。